「トレード」=“価値”を交換する行為

 最もシンプルな「トレード」は、物々交換である。人によって「トレード」する対象物に対する“価値”のつけ方が異なるため、参加する人や組織の全員(主体)において、

「相手が自分に渡すものの価値」 > 「自分が相手に渡すものの価値」

となるとき交換が行われる。「トレード」では、実際にやりとりしている対象物が持つ“価値”を本質的には交換している。

下記は“価値”を分類・整理した図である。多様な価値があるゆえ、人により「トレード」する対象物に感じる価値も異なる。

「トレード」で着目する三つの視点

①“誰”と「トレード」するか?

②“何”を「トレード」するか?

③「トレード」が“周囲”に貢献しているか?

①“誰”と「トレード」するか?

「トレード」する相手と出会うためのマッチングに着目している切り口である。複数の選択肢の中から各々にとって最適な相手を探すための様々なマッチングの仕組みがある。

②“何”を「トレード」するか?

「トレード」で相手と実際にやり取りしているのは、ヒト・モノ・カネなどである。カネについては、価値を測り、やり取りを媒介するためのツールとしてその他と分けて考える。また無償のやり取りも含め、「トレード」のタイプは基本的に「交換」「販売」「譲渡」の3種類に分類できる。

「交換」の場合は前述した通り、やり取りするものに対する価値のつけ方が異なるために行われる。貨幣を使った「販売」の場合は、「個人的価値観に基づく評価」と、そのモノの「客観的指標に基づく評価」=価格を見比べて、購入合理性が認められた場合(個人的評価額-支払額=期待値 の最大化を指向)に、そのモノを購入する。「譲渡」の場合は、譲渡する側が自分が持っているより相手に渡した方が価値があると考えるために行われる。いずれの場合も「トレード」されることで対象物がより必要としている人や組織に移動し、最適配置に近づいたと言える。

③「トレード」が“周囲”に貢献しているか?

「トレード」とはやり取りするものが持つ価値を交換・取引することであるが、価値の分類図を見ると貨幣価値で換算困難な価値には交換・取引に向かないものもある。「トレード」では、金銭では価値を測りづらい歴史的なものの保存や環境保全など、「トレード」が周囲に良い影響をもたらすことを考える必要がある。周囲にもたらす影響が、「トレード」する主体が価値とみなすこともある。