トレーディング・シティ 宣言

我々は、都市空間の価値向上を促すための「トレード」という方法論を提案する。      
異なる複数のダイナミックな都市更新手法の提案を目論み、土地、建物、用途、人などを「トレード」により最適化し
た都市「トレーディング・シティ」が、21世紀の新しい都市を創る。
約束された人口縮小社会、改めて明らかになった天災のリスク、あるいは大きな物語としての地球環境問題。21世紀を通して我々が立ち向かうべき問題が、都市空間の再編と更新の方法論を要請している。しかし、成熟した都市圏において、マスタープラン的都市計画はもはや機能せず、個別の経済活動の集積が都市構造を形成している。そのスケールは、大資本による面的再開発や小さく個別な活動など多様であるが、いずれもその範囲内で完結していることが多い。その結果、地方都市や商店街の衰退、荒廃した住宅地の発生等を引き起こし、都市全体の価値向上に寄与しているとは言えない。 そこで、開発において複数の地点を同時に扱い、各々が有する価値の「トレード」=交換・取引を行い、互いがwin-winの関係になる開発の在り方を模索する。このとき、「経済」的価値のみによる比較ではなく、例えば「環境」、「文化」、「社会」、「インフラ」、「クリエイティビティ」などの多様な場所に固有な価値による比較の可能性を検討する。

「トレーディング・シティ」は、無数の「トレード」によって時代と共に変化し続ける。

トレーディング・シティの5原則

1.更新可能性を持つ
 都市計画という概念が生まれて以降、全ての都市計画は最終ヴィジョンを提示してきた。そのヴィジョンがあたかも理想郷のように、膨大な時間をかけてそのヴィジョンへ近づけていった。しかし、社会は常に変化し続け、全体像が見えないままの都市が生成され続けている。白地図に新たな都市を描くのではなく、社会の変化や人の活動、要望を許容し発展させる都市計画が必要である。

2.最適再配置を行う
 都市には、以前はそこに必要があったであろう多くのモノが、全く機能せず不適合化されている。しかし、その場所では必要とされないモノが、別の場所では必要とされている。各々が互いのモノを必要としている場合、それは「トレード」という単純な行為によって解決される。「トレード」を続けていく先には、モノが最適な場所に再配置された新たな都市が生まれ、様々な場所に新たな行為が発生する。

3.社会問題を解決する
 高度経済成長期を経て人口減少時代となり、肥大化した巨大都市は今、次のヴィジョンが問われている。最終ヴィジョンを示す都市計画によって様々な社会問題が生み出されている。「トレード」は、コンパクトシティや過疎化、郊外問題、震災復興の解決に対しても流用可能な方法であり、かつ現在的方法論である。

4.価値を発掘する
 これからの都市計画は、金銭による経済価値のみによるものであってはならない。何故ならそれこそが、全てを平均化させ都市から魅力を失わせてしまった原因の1つだからである。その金銭的価値に含まれない価値にこそ、これからの新たな都市における魅力の要素が含まれている。経済成長が停滞したからこそ、金銭的価値ではない価値を新たに掘り起こさなければならない。また、互いが価値を享受することだけではなく、その周辺にもその価値の影響がなくてはならない。

5.即時性を持つ
 長い時間をかけて行う都市計画は、計画時と実行時に大きな時間のずれを発生させてしまう。即時的に行える性質を持つ「トレード」は、連続性や別時多発性もあり、断続的で柔軟な計画が可能である。それにより、多大な時間と労力の無駄を解消する。